孫子 上 新装版 (1) (講談社文庫 か 1-19)
海音寺潮五郎の名作『孫子』が、再販されたのでご紹介します。この『孫子』という作品は、二部構成になっていて、第1部が『孫子』の作者といわれる孫武を主人公とし、第二部がその子孫と言われる孫ひんを主人公としています。
以前、講談社文庫から一冊の分厚い本として出ていて、それは私にとっては大切な作品としていまでも本棚に並んでいますが、今回は上下巻に分かれて出版されています。
おそらく、上巻で孫武、下巻で孫ひんという構成なのでしょう。
海音寺文学は、登場人物の心の襞を丁寧に追いかけていくという手法で、これに上手く「乗らない」と、凄く退屈なのですが、乗れさえすれば実に奥行きがある作品になっています。
彼は一時、廃れていた史伝を復活させた作家としても知られますが、確かに場合によっては小説よりも史伝の方が面白いぐらいです。
『孫子』はその史伝的な要素が強く、その意味でも楽しい作品となっています。
私にとって、海音寺文学の最高傑作といえば、実は『中国英傑伝』なのですが、最近次々と再刊された中に英傑伝は入っていません。
その英傑伝のもっとも面白いくだりと、『孫子』第1部の孫武(ともちろん伍子胥)が活躍する呉楚の興亡とが重なっていて、この点でも、『孫子』は興味深い作品です。
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